患者情報保護の観点から、データを一箇所のセンターやクラウドに集約してモデルトレーニングを行うのではなく、分散したエッジ環境にデータを留めたまま行う、ブロックチェーンを活用したセキュアな分散型機械学習ソリューションが提案されている。Swarm Learningと呼ばれるこのアプローチでは、モデルトレーニングとトレーニング済みモデルによる推論の両方がエッジ環境で実施され、実データではなくモデルパラメータのみが共有されることとなる。
英リーズ大学の研究チームは、北アイルランド・ドイツ・米国の異なる患者コホートを利用し、「大腸腫瘍の組織画像から遺伝子変化を予測するAIモデル」をトレーニングした。研究成果はNature Medicineから25日、公開されている。本研究論文によると、5,000人を超える患者データからSwarm Learningで学習したAIモデルは、英国の2つのデータセットにおいてその予測性能が検証された。結果、Swarm Learningで学習したAIモデルはほとんどのローカル学習モデルを上回り、全てのデータを1つにマージしたデータセットで学習した場合と同等のパフォーマンスを示していた。
著者らは、Swarm LearningベースのAIモデルの有効性を強調するとともに、あらゆる病理組織画像解析タスクについて、Swarm Learningを用いることで「データ転送の必要性をなくすことができる」とし、同領域における今後の発展を予見している。
関連記事: