このほどScientific Reportsから公開された、韓国・延世大学校のチームによる研究論文では、成人向けに開発された胸部X線画像解析AIソフトウェアが「小児患者に対しても有効に機能する可能性」を指摘している。小児向けAIソフトウェアが不足する現状において、既存の成人向けAIの適用余地を探る野心的研究成果に関心が集まっている。
チームの研究論文によると、2021年3月から5月にかけて胸部X線写真を撮影した小児患者(18歳以下)をレトロスペクティブに評価対象としている。AIベースの病変検出ソフトウェアにより、結節や線維化、無気肺、心肥大、胸水、気胸などの有無を評価した。放射線科医の読影と比較することで、ソフトウェアの診断性能を調査したところ、胸部X線写真2,273枚について、AIベースのソフトウェアは感度67.2%、特異度91.1%、陽性適中率93.9%、陰性適中率87.5%を示した。興味深いことに、心肥大と2歳以下の小児を除外すると、いずれのパフォーマンスも大幅な向上がみられることを確認している。
著者らは「適切にAIの適用条件を設定すれば、成人向けソフトウェアが小児にも活用できる可能性」を指摘するとともに、さらなる検証の必要性も強調している。
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