変形性関節症(OA)は従来、特に65歳以上高齢者の疾患と捉えられてきたが、50歳以下の若年における発症も増加傾向にある。米ウェストフロリダ大学などの研究チームは、複数のAIモデルを活用した「若年成人におけるOAリスク因子の探索」を進めている。
Therapeutic Advances in Musculoskeletal Diseaseからこのほど公開された研究論文では、国民健康栄養調査に含まれる20~50歳までの1.9万人を対象とし、OAの有無とこれに関連する因子の分析を行なっている。複数の機械学習モデルによる探索では、若年性のOAリスクとして、女性であることや肥満、喫煙習慣、高血圧、身体運動制限、精神的不調、などの存在が明らかにされた。また、人種・民族間でのリスク差も検出されており、特にメキシコ系アメリカ人で有意にリスクが低いことが示唆された。さらに、疾患予測モデルはディープニューラルネットワーク(DNN)が最も高精度であり、AUC 0.75を示したとしている。
高齢化の進展に伴ってOAの全数は増加傾向にあるが、若年からのリスク管理によって高齢期発症のOAに対しても疾患予防効果を見込める可能性もある。今回明らかにされたリスク因子には十分に修正可能なものが含まれており、有効な介入アプローチの構築に向けてさらなる検証が計画されている。
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