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Regard社 – AIによるワークフロー改善で医療者の燃え尽きを防ぐ

COVID-19のパンデミックは、「医療者の燃え尽き」を助長させたことが多くの研究から明らかになっており、米国では2022年段階で医師の約半数が燃え尽きを自覚しているとの報告もある。本来行うべき質の高い患者ケアに集中できず、管理上の負担に圧倒されている状況に対し、米メリーランド州・デラウェア州を中心に医療機関ネットワークを運営する「TidalHealth」は、診断支援AIソフトウェア企業「Regard」との提携により、医療者の燃え尽きを軽減すための技術導入を進めている。

Regardが2日明らかにしたところによると、同社のAIシステムは、電子カルテから患者の病歴全体を集約する「チャートレビュー」を自動化するもの。病状の見落としを防ぐとともに、医師が臨床メモに費やす時間を20%削減できるという。文章管理の時間削減は、直接的に「医療の実践時間」が増えることを意味し、雑務の過多による疲弊を回避できる。同社の直近の調査では、製品を使用することで「臨床医の燃え尽き症候群の指標が56%減少した」ことも明らかにしている。

TidalHealthの最高医療情報責任者であるMark Weisman氏は「医療者は技術ではなく患者に焦点を当てる必要がある。今回のような技術導入は、医療者の幸福に真の影響を与えられるものだ。Regardと力を合わせ、我々の卓越した医療水準を維持するため、ワークフローを合理化し、現場を強化していきたい」と語った。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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