医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究EarHealth - 耳の異常を検出するイヤホン型システム

EarHealth – 耳の異常を検出するイヤホン型システム

イヤホン型デバイスの技術進歩に伴い、ヘルスケア機能を内蔵したヒアラブルデバイスの普及が身近となってきた。米バッファロー大学の研究チームは、「耳の感染症などの異常を検出するイヤホン型システム」の開発を進める。

Association for Computing Machinery(ACM)が主催する国際学会MobiSysで発表された同研究では、「EarHealth」と呼ばれるシステムによって、イヤホンからチャープ信号(経時的に周波数が増減するもの)を発し、その音響を記録することで外耳道の状態変化を捉えている(プレゼン動画はこちら)。現在は3つの器質的異常「耳垢の詰まり」「鼓膜の損傷」「中耳炎」をモニターできる。92名の患者でシステムを検証したところ、82.6%の分類精度を達成した。

バッファロー大学コンピュータサイエンス・工学部准教授のZhanpeng Jin博士は「EarHealthによって、我々は効果的で安価、かつユーザーフレンドリーな方法で耳の健康状態をモニタリングする、これまでに類を見ないイヤホン型システムを開発した。異常の早期発見が多くの人々の健康を改善するだろう」と語った。研究チームは今後、耳毛や、鼓膜における炎症の既往といった他の要因がEarHealthの性能に与える影響を検証し、システムの改良を計画している。

関連記事:

  1. 次世代の聴覚ケアにおける鍵はAIとスマフォ
  2. 滲出性中耳炎を検出するティンパノメトリーAI
  3. 聴覚医療を変革するAIの力
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事