肝細胞がん(HCC)治療には複数分野の専門家による連携が欠かせず、治療の適時性を担保するには有効なフォローアップの存在が前提となる。米国では、HCCのベースとなる肝硬変の原因はC型肝炎ウイルスとアルコール使用が一般的だが、これらには精神疾患の併発や医療システムの障壁が伴い、タイムリーなケアへのアクセスが困難な場合も少なくない。
米イェール大学などの研究チームは、AIベースの症例トラッキングシステムにより、HCC治療の適時性が改善されるかを検証した研究成果を明らかにした。PLOS Digital Healthから今月公開された研究論文によると、研究チームは、退役軍人病院において「電子カルテと連動した異常識別・追跡システム」を導入している。このシステムは全ての放射線レポートをレビューした上で異常症例のキューを生成し、期日と自動リマインダーを伴う治療イベントのキューを維持するというもの。このシステム介入により、診断から治療までの平均期間が36日短縮されるとともに、より早いステージで診断されたHCCの割合が有意に高くなることも明らかにした。
著者らは「リスクの高い集団におけるケアギャップを体系的に解決する、実用的な介入の可能性を実証したこと」を強調しており、HCCスクリーニングを実施している医療機関に対し、システムの臨床導入を進める可能性を示している。
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