超音波検査を慢性肝疾患の仮想生検とするAI技術

肥満・食事・ライフスタイルの影響によって、慢性肝疾患(CLD: chronic liver diseases)は全世界で患者数20億人を超えるとの試算がある。特に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD: non-alcoholic fatty liver diseases)の増加がCLD増加の多くを占めている。CLDの画像診断には超音波検査が一般的に用いられており、早期診断によって生活習慣改善と疾病の進行抑制が期待される。

カナダ・トロント拠点のデジタルヘルススタートアップ「Oncoustics社」は、超音波AI診断ソフトウェア「OnX」を主力製品とした開発を進めている。OnXはCLD診断を最初のターゲットとして、超音波検査から肝臓の線維化や脂肪沈着などの病的な構造的特徴の検出を行う。超音波「画像」から診断アルゴリズムを開発する事例は数多くあるが、Oncousticsのアプローチは超音波装置から生成された「生の音声信号」に機械学習を適用することで、生体組織の特徴を判別して診断につなげるというものだ。

Oncousticsは開発を進めるシード資金として約550万カナダドル(約5.8億円)を調達している。同社は「仮想生検」とも言える高精度の超音波診断システムを構築し、高度な画像診断や痛みを伴う侵襲的な生検の必要性を低減することを狙っている。

関連記事:

  1. 腸内細菌叢から「非アルコール性脂肪性肝疾患発症」を予測
  2. 3D深度カメラと機械学習による脂肪肝診断
  3. C型肝炎治療の失敗リスクを推定するAI研究

TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事