病理学は医療AIによる飛躍が期待できる領域の1つであり、病理標本のデジタル化とあわせて開発が加速している。米メイヨークリニックのチームは、大腸がんの病理検体画像をAIアプローチによる定量解析で、患者の「無再発生存」を予測する研究を行っている。
Gastroenterologyからオンライン公開された研究では、大腸がんのHE染色スライド6,468枚から開発されたアルゴリズム「QuantCRC」の性能を評価している。QuantCRCは、大腸がん検体のデジタル画像から15個の定量的パラメーターを解析し無再発生存を予測できるが、これは既存手法による予後予測を有意に上回るものだった。チームでは、QuantCRCにより、再発リスクが低く補助化学療法が不要な患者群の特定、再発リスクが高く集中的なフォローアップが有効な患者群の特定、などが可能になるとしている。
研究責任者でメイヨークリニックの病理医であるRish Pai氏によると「このアルゴリズムは、画像をその腫瘍に固有の数値群に変換する。我々は解析した多数の腫瘍から、どの特徴が腫瘍の挙動を最も予測しやすいか学ぶことができた。このアルゴリズムは、治療とフォローアップを導く新たなツールとなる」と述べた。
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