連続尿量と腹腔内圧から急性腎障害を予測

大動脈解離や腹部大動脈瘤などの手術後、腹腔内圧が上昇して循環障害を含めた多臓器障害を引き起こす「腹部コンパートメント症候群(ACS: abdominal compartment syndrome)」という重篤な合併症がある。腹腔内圧上昇の検知には、尿道カテーテル留置で膀胱内圧を測定し、腹腔内圧を間接的に測定する手法が使われている。米Potrero Medical社は、尿道カテーテルに次世代型センサーを搭載し、尿量・腹腔内圧・深部体温のリアルタイム測定で「腹腔内圧上昇と続発する合併症」を予測する診断システム「Accuryn Monitoring System」を開発している。

Potrero Medicalは、Accurynシステムにおける「心臓手術後の集中治療患者における、腹腔内圧上昇からの急性腎障害(AKI)予測アルゴリズム」が米食品医薬品局(FDA)のBreakthrough Device指定を受けたことを公表した。同システムは、特許取得済みの「カテーテル管内における能動的なクリアランス技術」で尿の滞留と逆流を防ぎ、測定誤差を減少させることができる。また、ボタンワンプッシュでカテーテル先端のセンサーが腹腔内圧を測定する。これらのデバイス技術をAKI予測アルゴリズムと組み合わせることで、有効な臨床意思決定を支援しようとするもの。

Potrero Medical社CEOのJoe Urban氏は「連続尿量と腹腔内圧の測定は、Accurynシステムの登場まで、重点的なデータとして活用が進んでいなかった患者パラメータである。FDAからのBreakthrough Device指定は喜ばしく、患者・医療者・医療システムにもたらす将来性に大きく期待している」と語った。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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