自然言語処理技術の発展とともに、テキストベースのメンタルヘルス評価の試みが増えている。米ワシントン大学(UW)のチームは、精神疾患患者における「認知の歪み」を反映したテキストメッセージを識別するモデルを開発し、その性能を評価した。
Psychiatric Servicesに掲載された同研究では、重篤な精神疾患で入院歴のある39名の患者と、医療者との間で交わされた7,354通のテキストメッセージを解析している。テキストには認知の歪みを示す特徴(結論への飛躍、過度の一般化、悲観論、べき論)のラベル付けが行われた。複数の自然言語処理分類法を適用した結果、変換器による双方向エンコーダ表現を用いたモデルは最も優れた性能を示し、認知の歪み検出において、専門の臨床評価者と同等の識別性能を示していた。
チームでは本研究をベースとして、常時モニタリングによるスクリーニングを前提としたアプリケーション化の可能性を模索している。著者のDror Ben-Zeev氏は「血中酸素濃度や心拍数情報を得るのと同様に、テキスト情報から患者が”結論を急いでいる”、”悲観的に考え過ぎている”といった傾向をリアルタイムでフィードバックできるようになるだろう。そのような、『自身の思考パターンに気付かせるシステム』を想定している」と語った。
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