医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究テキストメッセージから「認知の歪み」を自動検出

テキストメッセージから「認知の歪み」を自動検出

自然言語処理技術の発展とともに、テキストベースのメンタルヘルス評価の試みが増えている。米ワシントン大学(UW)のチームは、精神疾患患者における「認知の歪み」を反映したテキストメッセージを識別するモデルを開発し、その性能を評価した。

Psychiatric Servicesに掲載された同研究では、重篤な精神疾患で入院歴のある39名の患者と、医療者との間で交わされた7,354通のテキストメッセージを解析している。テキストには認知の歪みを示す特徴(結論への飛躍、過度の一般化、悲観論、べき論)のラベル付けが行われた。複数の自然言語処理分類法を適用した結果、変換器による双方向エンコーダ表現を用いたモデルは最も優れた性能を示し、認知の歪み検出において、専門の臨床評価者と同等の識別性能を示していた。

チームでは本研究をベースとして、常時モニタリングによるスクリーニングを前提としたアプリケーション化の可能性を模索している。著者のDror Ben-Zeev氏は「血中酸素濃度や心拍数情報を得るのと同様に、テキスト情報から患者が”結論を急いでいる”、”悲観的に考え過ぎている”といった傾向をリアルタイムでフィードバックできるようになるだろう。そのような、『自身の思考パターンに気付かせるシステム』を想定している」と語った

関連記事:

  1. テキストメッセージのNLP解析 – 増悪する若年者メンタルヘルス
  2. 音声テキストのみでPTSDをスクリーニングするAI研究
  3. UCI – 自然言語処理によるEHR分析環境を構築
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事