医療AIツールの有効性は「現場の医療者がそのAIを受け入れるかどうか」にかかっている。米メイヨークリニックの研究チームは、「AIツールの提案を採用しやすい医師」と「採用を躊躇する医師」とを比較し、心不全の診断率に2倍の差が生まれることを示した。
Mayo Clinic Proceedingsに掲載された同研究では、米中西部48の医療施設における医師165名および患者11,573名を対象に、「心電図から左室低駆出率(心不全)を検出するAIシステム」のアラートを受けた際の採用状況と患者転帰についてを検証した。「採用」の定義は、AIによる「心エコーオーダーを検討するように」との通知を受け入れ、追加検査を実際に行った場合としている。チームの検証によると、AIの提案を高率に受け入れる「高採用者群」では心不全の診断率33.9%、提案の採用率が低い「低採用者群」では診断率16.3%と、約2倍の差があったとしている。
研究チームによると、高採用者には「複雑な健康問題を抱える患者への対応経験」が少ない傾向があると考察している。著者でメイヨークリニックのDavid Rushlow医師は「学術的専門性の高い施設において開発される傾向のある医療AIだが、その利点を最大化するためには、複雑な患者を扱った経験の少ないプライマリーケアの現場との間で、より多くのコラボレーションを持つことも重要だ」と語っている。
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