糖尿病患者では眼症による視力低下・失明が問題となる。患者の半数以上に「糖尿病性網膜症(DR: diabetic retinopathy)」があり、約15人に1人で「糖尿病黄斑浮腫(DME: diabetic macular edema)」が合併するとされる。世界有数のハイテク研究機関である台湾・工業技術研究院(ITRI)は、専門医以外においても眼底カメラ画像からのDR/DMEの早期スクリーニングを可能にするAI支援システム「Point-of-Care AI-DR」を発表した。
Point-of-Care AI-DR(動画参照)は、DRとDMEを含む14種の眼底異常所見を5〜10秒で検出し、病変をマークするとともにその重症度を評価することができる。その際、診断前に画質を判定することで、AIによる誤判定を防止する機能を備えることも特徴となる。システム構築のため、ITRIでは50名の眼科医の協力のもと、15万枚の眼底画像を収集・ラベリングした。モデル学習の結果、Point-of-Care AI-DRはDRの診断で感度98%以上・特異度96%以上を達成し、既存製品を上回るパフォーマンスを発揮している。
ITRIのPang-An Ting氏は「本システムは、眼科医の専門知識とAIとのコラボレーションだ。診断作業を補完するAIモデルを用いることで、読影全体の効率が向上する」としている。
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