栄養学は慢性疾患への対処に重要だが、時代とともに推奨事項が大きく変化する分野でもあり、先端知見に漏れなく精通した医療者は必ずしも多くない。そのため、限られた診察時間では取り扱いにくい話題ともなる。米テキサス大学オースティン校のチームでは、医師・患者間の食事カウンセリングおよび意思決定を支援するAIシステム「Nutri」を開発し、臨床栄養学の有効活用を実践する。
Nutriは電子カルテと統合して個人別の栄養目標を設定し、食習慣改善の進捗を追跡する。Nutri導入の成果は、AMIA(米国医療情報学会)2022年次シンポジウムで発表された。チームはシステムの設計にエンドユーザーである医師の参加が重要と考え、10名の臨床医とシミュレーションを行うとともに、Nutriの臨床的有効性をテストしている。その結果、参加した臨床医全員が患者と協働して栄養目標の設定を達成できた。また、システム利用による時間の節約効果と、食事カウンセリングの自己効力感向上を認めたという。
Nutriが試験導入されているLone Star Circle of CareのLola Okunade氏は「Nutriによって、私たちは栄養について気軽に話せるようになり、目標を達成するための確かな会話が可能になる」と語った。
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