「医師・患者間の食事カウンセリング」を支援するAI

栄養学は慢性疾患への対処に重要だが、時代とともに推奨事項が大きく変化する分野でもあり、先端知見に漏れなく精通した医療者は必ずしも多くない。そのため、限られた診察時間では取り扱いにくい話題ともなる。米テキサス大学オースティン校のチームでは、医師・患者間の食事カウンセリングおよび意思決定を支援するAIシステム「Nutri」を開発し、臨床栄養学の有効活用を実践する。

Nutriは電子カルテと統合して個人別の栄養目標を設定し、食習慣改善の進捗を追跡する。Nutri導入の成果は、AMIA(米国医療情報学会)2022年次シンポジウムで発表された。チームはシステムの設計にエンドユーザーである医師の参加が重要と考え、10名の臨床医とシミュレーションを行うとともに、Nutriの臨床的有効性をテストしている。その結果、参加した臨床医全員が患者と協働して栄養目標の設定を達成できた。また、システム利用による時間の節約効果と、食事カウンセリングの自己効力感向上を認めたという。

Nutriが試験導入されているLone Star Circle of CareのLola Okunade氏は「Nutriによって、私たちは栄養について気軽に話せるようになり、目標を達成するための確かな会話が可能になる」と語った

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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