X線から変形性膝関節症の初期兆候を検出

変形性関節症の中でも膝関節は患者数が最多となる。フィンランド・ユヴァスキュラ大学のチームは、AI手法により、X線写真から変形性膝関節症の初期兆候である「脛骨結節の突起(脛骨スパイク)」を自動評価する研究を行っている。

Diagnosticsに掲載された同研究では、913枚の膝関節X線写真を対象として、脛骨スパイクを検出するAIモデルの開発と性能検証を行った。脛骨スパイクは、現状の変形性膝関節症の診断基準には含まれないが、整形外科専門医の間では初期兆候として認識されている。検証の結果、開発されたモデルは、86.9%の検出精度を示していた。

フィンランドでは年間60万人が変形性膝関節症に罹患し、年間最大10億ユーロの経済損失がある。不確実性の高い早期診断に対して、MRIといった高額検査は経済的に不合理でもあり、研究チームは一般開業医のX線検査による初期診断をAIモデルで支援することを狙う。

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