思春期は精神衛生上のリスクを伴いやすく、その予防が重要となる。米スタンフォード大学の研究チームは、「Kai.ai」というAI会話エージェントによって、自己啓発プログラムを青少年に提供し、幸福度を高める介入効果の検証を行っている。
JMIR AIに発表された同研究では、14〜18歳の青少年10,387人を対象とし、iMessageやWhatsAppなどの主要メッセージングアプリ上で、会話エージェントKaiを利用し、サービス利用期間中のユーザーの幸福度を、WHO-5 Well-being Indexという質問票によって評価した。Kaiは、心理療法の手法の1つである「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT: acceptance and commitment therapy)」に基づいた対話プログラムで、ユーザーとテキストベースの交流を行うことができる。ACTは、認知の柔軟性を向上させるなどの臨床効果が示されてきた。検証の結果、ユーザーの平均幸福度スコアは、平均45.39日間の交流期間において、介入開始から時間とともに有意に増加することが示されている。
COVID-19の流行は、メンタルヘルスに対する様々な支援のアクセスを低下させ、経済的コストも増加させている。研究チームでは本研究の成果から、青少年の幸福度を向上させるために、費用対効果が高くアクセスしやすいツールとして、テキストベースの会話エージェントが持つ潜在的有効性を強調している。
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