OrCA – 移植臓器の質を評価するAIプロジェクト

英国では臓器移植の待機患者が約7,000名とされ、特にパンデミック以降、肝移植の待機患者が大幅に増加している。取り出された臓器は一度きりの片道輸送しかできない場合も多く、臓器の質が移植に耐え得るか適切に評価し、迅速に決断する必要がある。移植の恩恵を受ける患者を増やすため、英国民保健サービス(NHS)では「OrQA(Organ Quality Assessment)」と呼ばれる移植臓器の質を評価するAIプロジェクトが始まっている。

プロジェクトに参加しているニューカッスル大学が報じたところによると、OrQAは臓器のダメージ、既往症、血液の洗い流し(臓器灌流)などについて、AI手法でスコア化し、移植医の評価および意思決定をサポートする。技術の概念実証は現在、肝臓・腎臓・膵臓移植で実施されており、2年以内にNHS内でライセンス試験の準備が整うと期待されている。OrQAの本格的運用で、英国内の腎移植患者は年間最大200名、肝移植患者は100名増えるとの試算がある。

プロジェクトリーダーでニューカッスル大学の移植外科医のColin Wilson氏は「これまで臓器摘出時に外科医を助けてくれるツールは何もなかった。OrQAは、移植に関わる全ての人にとってストレスの最も強いタイミングで、最善の決断を下すのを助けてくれるだろう」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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