米ボストン大学などの研究チームは、4万人を超える患者の臨床記録から学習した「降圧薬の推奨モデル」を構築した。高血圧症は長期的な健康影響の大きい心血管疾患でありながら、患者特性を考慮した個別化治療戦略の策定が従来困難であったため、新しいアプローチによる患者予後の改善には大きな期待が集まっている。
BMC Medical Informatics and Decision Makingから1日公開された研究論文によると、高血圧症の診断基準を満たす42,752人の臨床記録を用い、患者特性に基づき、各患者に降圧薬クラスを推奨するモデルを開発した。具体的には、各患者に他患者との親和性の高いグループを関連付け、このグループを使用して各処方タイプにおける将来の収縮期血圧(SBP)を予測した上で、各患者について予測SBPを最小化する降圧薬クラスを選択するというもの。分布的にロバストな学習方法で構築されたこの提案モデルは、平均で14.28mmHgのSBP減少につながっており、この降圧幅は標準治療によって達成されるものよりも70.30%大きいとしている。
著者らは「高血圧治療におけるデータ駆動型アプローチは、標準治療と比較して大きな改善をもたらした」と述べ、計算機による高血圧治療戦略の策定が潜在的に強力な利点を有している可能性を指摘する。
参照論文:
Personalized hypertension treatment recommendations by a data-driven model
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