米イリノイ州シカゴに所在するAnn & Robert H. Lurie Children’s Hospitalはこのほど、4歳未満の乳幼児にみられる「あざ」から、虐待の可能性を識別するアプリの提供を開始した。虐待の早期発見は子どもの深刻な受傷や死亡の発生を減少させることが明らかになっており、全米児童虐待防止月間に合わせる形で、今月本アプリの提供開始に至っている。
同院によると、LCASTと呼ばれるこのアプリは、根拠に基づいた意思決定を支援するため、打撲の特徴を分析する。BioDigital社が提供するHuman Platformを利用し、インタラクティブな3Dモデルに対して、ユーザーは子どものあざがある部位をクリックするとともに、他の兆候や症状の有無、傷害事象に関するいくつかの質問に答えることで、「虐待と事故のどちらの可能性が高いか」をアルゴリズムが予測するというもの。LCASTは無償で提供され、AppleおよびAndroidデバイスで利用可能となっている。
LCASTは、米国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受け、同院のMary Clyde Pierce医師が主導した、乳幼児における虐待による打撲の可能性が高い身体部位を特定する「TEN-4-FACESp」と呼ばれる打撲臨床判断ルールを改良した研究成果に基づく。BioDigitalの最高イノベーション責任者であるAaron Oliker氏は「LCASTは、児童虐待防止の分野で重要なマイルストーンとなるもので、医療従事者がリスクの高いケースを特定し予防するための、実用的でユーザーフレンドリーなツールだ」としている。
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