産後出血は妊産婦死亡の4分の1近くを占め、世界では7分に1人が産後出血で死亡している計算となる。陣痛や心拍数をモニタリングする従来の技術では、産後出血とその合併症を早期に予測することは難しく、技術革新が求められていた。オーストラリアのBaymatob社は、AIとセンサー技術を組み合わせ、産後出血のリスクを早期検出するウェアラブルモニタリングデバイス「Oli」を開発している。
Baymatobは19日、Oliのパイロット試験に500名の妊婦を登録したことを発表した。Oliは陣痛開始前及び陣痛中に母体の上腹部に装着し、電位・動き・温度・形状変化などの母子の生理信号をモニターし産後出血リスクを予測する。パイロット試験の完全な結果は2023年中の発表を予定しているが、現在までに得られた臨床的エビデンスでは、産後出血を来たした症例の80%以上がOliによって出血前に警告を受けることができており、母子の著明な転帰改善が期待されている。
Oliは2021年8月、米食品医薬品局(FDA)から「ブレークスルーデバイス」の指定を受けた。Baymatob CEOのTara Croft氏は「パイロット試験の完了により、本年中にさらに大規模なピボタル試験への道が開かれる。このことはFDA承認を成功させる上で非常に重要なことだ」と語った。
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