近年急速に発展するデジタル技術、特にAIは医療分野で大きな革新をもたらす可能性を示している。しかし、これらの技術を実際の臨床に導入することは、様々な困難と長大な時間を要するプロセスでもある。米マイアミ大学の研究者らは、デジタルヘルスケア/AI企業のアーリーステージにおける創業者および経営層を対象とした調査を通じて、臨床現場への新技術導入の障壁を分析し、その解決策を提案している。
Journal of Medical Internet Researchに掲載された同研究では、臨床現場や医療システムに初期段階の革新的技術を統合する障壁として、以下の4つのカテゴリを特定した。
1. 医療システム側の知識不足や、スタートアップとの文化の違い
2. 厳しい規制と技術検証要件から求められるコスト
3. 医療システム側における技術調達プロセスの課題
4. 大規模テクノロジー企業と比較した、スタートアップ側の多面的な不利
これらの障壁を緩和するための解決策として、スタートアップ・ヘルスケアプロバイダー間のコミュニケーションに基づく関係構築、そして技術評価と調達プロセスの最適化が提案されている。
著者のAzizi Seixas博士は「新しいテクノロジーは、”物事をどう行うべきか”変革するつもりでヘルスケア領域に参入してくる。しかしその多くが失敗するのは、彼らが”患者を思いやる”ことができていなかったからだ。前進するためには、解決策をヘルスケアに組み込み、それを実装するための土台が必要だ」と述べている。
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