医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究「AI技術とベッドサイドの間」にある障壁

「AI技術とベッドサイドの間」にある障壁

近年急速に発展するデジタル技術、特にAIは医療分野で大きな革新をもたらす可能性を示している。しかし、これらの技術を実際の臨床に導入することは、様々な困難と長大な時間を要するプロセスでもある。米マイアミ大学の研究者らは、デジタルヘルスケア/AI企業のアーリーステージにおける創業者および経営層を対象とした調査を通じて、臨床現場への新技術導入の障壁を分析し、その解決策を提案している。

Journal of Medical Internet Researchに掲載された同研究では、臨床現場や医療システムに初期段階の革新的技術を統合する障壁として、以下の4つのカテゴリを特定した。
1. 医療システム側の知識不足や、スタートアップとの文化の違い
2. 厳しい規制と技術検証要件から求められるコスト
3. 医療システム側における技術調達プロセスの課題
4. 大規模テクノロジー企業と比較した、スタートアップ側の多面的な不利
これらの障壁を緩和するための解決策として、スタートアップ・ヘルスケアプロバイダー間のコミュニケーションに基づく関係構築、そして技術評価と調達プロセスの最適化が提案されている。

著者のAzizi Seixas博士は「新しいテクノロジーは、”物事をどう行うべきか”変革するつもりでヘルスケア領域に参入してくる。しかしその多くが失敗するのは、彼らが”患者を思いやる”ことができていなかったからだ。前進するためには、解決策をヘルスケアに組み込み、それを実装するための土台が必要だ」と述べている

参照論文:

The Gap Between AI and Bedside: Participatory Workshop on the Barriers to the Integration, Translation, and Adoption of Digital Health Care and AI Startup Technology Into Clinical Practice

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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