米国予防医療専門委員会は、長年に渡る喫煙者など肺がんリスクの特に高い50-80歳に対して、胸部低線量CT(LDCT)を用いた年1回の肺がん検診を推奨している。この画像データを利用し、肺がんや心血管疾患による死亡リスク予測を改善できることが報告されている。
北米放射線学会(RSNA)の学術誌Radiologyから25日発表された研究論文によると、National Lung Screening Trialから抽出した2万人以上のCTスキャンを使用し、測定された体組成値を含めることで、肺がんや心血管疾患、全死因死亡のリスク予測が改善されることが示された。特に「筋肉内の脂肪」に関連する測定値は、死亡率の強い予測因子となっていた。骨格筋に脂肪が浸潤している状態は、筋肉量の絶対的減少よりも健康転帰の不良を予測することが先行研究から知られているが、これはこの種の知見にも沿うものとなる。
肺がん検診に用いられるLDCTによる体組成測定は、ある目的のための撮影画像が他疾患に関する情報を提供する「日和見的スクリーニング」の一例である。今後、単一画像の多面的評価は進むものとみられ、これを支える画像解析技術としてのAI利用には期待が大きい。
参照論文:
AI Body Composition in Lung Cancer Screening: Added Value Beyond Lung Cancer Detection
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