ChatGPTを契機としたAI規制強化

オーストラリア医師会(AMA)は、パースにある病院勤務の医師らに対し、ChatGPTを使って医療メモを書かないよう警告を発するとともに、医療業界におけるAIの使用に関する強力なルールと透明性を求めた。

AMAは、連邦政府が発表した「安全で責任あるAIに関するディスカッションペーパー」に関する資料の中で、「オーストラリアはAI規制において他国に遅れをとっている」と述べた上で、患者と医療従事者を守り、信頼を得るためにはより強力なルールが必要であることを指摘する。これは本年5月、パースのSouth Metropolitan Health Serviceにある5つの病院が、ChatGPTによる患者のカルテ作成を中止するよう勧告されたことに基づくもの。

AIの保護には、臨床医が最終的な決定を下すこと、AIを使った治療や診断について患者によるインフォームドコンセントを確保することが含まれるべきであるとしている。AMAはまた、患者データは保護されなければならず、システムが健康格差の拡大につながらないよう、適切な倫理的モニタリングが必要であることにも言及している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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