医療現場では、過重労働と人手不足の影響により、医療従事者の燃え尽き症候群が拡大傾向にある。米ニューヨーク大学グロスマン医学部の研究チームは、「医療従事者の精神的苦痛を検出する自然言語処理AIツール」を開発し、その効果を検証している。
Journal of Medical Internet Research AIに発表された同研究では、医師や看護師、その他の医療スタッフを含む800名以上の医療従事者を対象に、遠隔心理療法セッションの言語記録を解析した。解析には、機械学習ベースの自然言語処理技術が利用されている。その結果、セラピストに対して「病棟の勤務」「睡眠の不足」「気分の問題」について語った医療従事者は、これらトピックを語らなかった者に比べ、不安やうつ病の診断を受ける可能性が高いことが明らかになった。一方、「パンデミック」や、自身の仕事の「チーム」「管理者」「上司」といったキーワードに関して語った医療従事者には、同様のリスクは確認されなかった。
全米での調査によると、COVIDパンデミック期間中に10万人の看護師が職を退き、2027年までには国内450万人の正看護師の5分の1にあたる約90万人が退職すると予測されており、医療システムの持続性が危ぶまれている。筆頭著者のMatteo Malgaroli氏は、「本研究の手法は医療従事者のメンタルヘルス・スクリーニングにおける重要な進歩だ。パンデミックの最も激しい時期に病院で働いた人々は、通常業務のストレスに加えて特殊な課題に直面し、深刻な精神衛生上のリスクにさらされていたことが分かった」と述べた。
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