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機械学習研究 – 1日の歩数が健康を規定する

このほどBritish Journal of Sports Medicineに掲載された研究論文では、「1日の歩数が心血管疾患(CVD)の発症、および死亡率に影響する程度」をウェアラブルデバイスを用いた大規模試験によって明らかにしている。

最終的に7万人以上となった研究対象者は、毎日16時間以上を3日以上に渡って、手首にウェアラブルデバイスを装着して身体活動が評価され、ここでは加速度計ベースの機械学習モデルを用いて分類が行われた。その後のCVD発症や死亡の追跡の他、多面的な交絡因子を測定している。結果、1日4,000歩未満は5.4%の粗死亡リスクを示した一方、1日8,000歩を超える歩数では粗死亡リスクは3.1%と低値を示した。また、新規発症のCVDに関しても量反応関係が観察され、歩数が増えるごとに発症リスクが低減していた。

本研究では、特に「座りがちな人が1日の歩数を増やすことの重要性」を強調しており、死亡率とCVDリスクをともに減少させる最適な歩数は「1日9,000~10,500歩である」と結論付けている。

参照論文:

Do the associations of daily steps with mortality and incident cardiovascular disease differ by sedentary time levels? A device-based cohort study

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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