採血は最も基本的な侵襲的医療行為で、世界中で年間に数十億回と繰り返されている。しかし、医療リソースが割かれる労働集約的な単純作業でもあるため、自動化により「医療者は質の高い医療行為へ集中できる可能性」がある。オランダの医療用ロボット企業「Vitestro」は、AIベースの超音波ガイドとロボットによる針の静脈穿刺技術を組み合わせた自律型採血装置を開発している。
Vitestro社の自動採血デバイスは、このたびロッテルダムで開催されたオランダ臨床化学・検査医学会(NVKC)の2022年次総会で発表された。本デバイスの静脈穿刺技術は、16歳以上の患者を対象とし、併存疾患がある場合など難易度の高い血管にも適用可能とする。プロトタイプモデルは、これまでの試験で1,000名以上の患者に1,500回の自動採血を実施してきた。2023年以降、欧州規制当局の承認に向けた臨床試験を開始し、市場への導入は2024年を見込む。これまでの研究成果により、あらゆる年代の患者が当該技術を採用することにおいて好意的かつ積極的な態度を示しているという。
Vitestro社のCEOであるToon Overbeeke氏は「医療従事者の不足は深刻であり、差し迫った問題と言える。パンデミックがさらに労働力の喪失を招き、世界中の病院で生産性を低下させ、医療へのアクセス低下につながっている。我々の革新的で自動化された採血装置は、業界最大の問題を解決する必然的な技術である」と述べている。
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