肥満・食事・ライフスタイルの影響によって、慢性肝疾患(CLD: chronic liver diseases)は全世界で患者数20億人を超えるとの試算がある。特に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD: non-alcoholic fatty liver diseases)の増加がCLD増加の多くを占めている。CLDの画像診断には超音波検査が一般的に用いられており、早期診断によって生活習慣改善と疾病の進行抑制が期待される。
カナダ・トロント拠点のデジタルヘルススタートアップ「Oncoustics社」は、超音波AI診断ソフトウェア「OnX」を主力製品とした開発を進めている。OnXはCLD診断を最初のターゲットとして、超音波検査から肝臓の線維化や脂肪沈着などの病的な構造的特徴の検出を行う。超音波「画像」から診断アルゴリズムを開発する事例は数多くあるが、Oncousticsのアプローチは超音波装置から生成された「生の音声信号」に機械学習を適用することで、生体組織の特徴を判別して診断につなげるというものだ。
Oncousticsは開発を進めるシード資金として約550万カナダドル(約5.8億円)を調達している。同社は「仮想生検」とも言える高精度の超音波診断システムを構築し、高度な画像診断や痛みを伴う侵襲的な生検の必要性を低減することを狙っている。
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