ハイリスクの自然分娩では薬物による分娩誘発が行われるが、誘発剤としてはオキシトシンが、また、誘発分娩の評価にはBishopスコアというスコアリング手法が利用されている。しかし、オキシトシンによる誘発分娩では、陣痛の全体的な進行状態を反映させる際に同スコアの限界が指摘されており、評価の主観性や誤差の大きさにも課題があった。中国・徳陽市人民医院の研究チームは「誘発分娩の成否を予測する機械学習モデル」を開発し、リスク評価の精度向上を図っている。
Scientific Reportsに発表された同研究では、495名の初産婦と312名の経産婦を対象として、妊婦の年齢・体格・出産歴や、児の頭囲・大腿骨長など18の予測因子から、オキシトシンによる誘発分娩の成功と失敗(3日後まで分娩兆候なし)を予測する4種の機械学習モデルを構築した。その結果、最も優れた予測能を示したモデルにおいてその性能は、分娩誘発「成功」について初産婦で精度94.24%、経産婦で96.55%、「失敗」については初産婦で精度65.00%、経産婦で66.67%であった。
研究チームによると「誘発分娩を勧める際、妊婦とその家族が誘発分娩の成功確率を知りたがっても、医療者側は不確かで主観的な回答しかできなかった。機械学習アルゴリズムを用いた定量的な予測結果を算出することで、患者に対して自信を持って回答できるようにもなる」と本研究成果の有効性を論じている。
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