コカインは南米原産である「コカ」の葉から作られる精神刺激薬物で、日本においても「麻薬及び向精神薬取締法」によって麻薬として規制されている。使用に伴う覚醒作用や多幸感を求めて乱用に至るが、コカインは多くの依存性薬品の中でもとりわけ強い「精神依存性」を有することが知られ、米国では200万人以上がコカインを常用している事実がある。
Addictionから公開された新研究では「AIベースの創薬アルゴリズム」を開発し、米食品医薬品局(FDA)が既承認の医薬品の中からコカイン使用障害に有用となる薬品候補を探索した。数千万件に及ぶ電子カルテを分析し、コカイン使用障害患者の寛解率向上に関する潜在的な臨床効果を評価したところ、麻酔薬として知られる「ケタミン」が筆頭候補として同定された。実際、コカイン使用障害患者が疼痛やうつ病のためにケタミンを投与された場合、寛解率が2~4倍高くなっていた。
現在、コカイン使用障害に対してFDAが承認する治療薬は存在しない。治療的介入自体は肯定的な結果をもたらしているが、コストやスタッフ、スティグマなどの障壁が、介入治療が広く行き渡ることを大きく制限している。著者らは「本研究は、コカイン使用障害の治療にケタミンを使用する根拠を大幅に強化するもの」とした一方、ケタミンの潜在的影響をより詳細に評価するためには、追加の臨床試験が欠かせないことも強調している。
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