中国の大手健康管理機関iKang Healcare Groupは、近年緩やかになってきているものの、これまで健康管理ビジネスにおける人工知能活用への投資を着々と進めてきた。 「今、iKangのビジネスは重要なターニングポイントにあり、医療系AIとの提携を積極的に進めている」と創業者兼CEOの張黎(チャン・リー)は述べている。
iKangだけでなく、中国でAIを導入する医療機関は増加しており、2018年の医療AI市場は200億元(約3300億円)に達するという。中国経営網によると、iKangはいくつかの医療系AI企業の力を借りて、網膜の映像分析・腫瘍のスクリーニング・病気の管理など、様々な分野でAIによるサービスの向上を狙う予定だ。例えば、Airdoc社が開発したAIによる網膜映像分析システムは、網膜の写真から30以上の病気を判定できるもので、緑内障など目にまつわる疾患だけでなく、高血圧や糖尿病などの症状の判別にも有用だという。このほか、iKangはアリババ傘下のAlibaba Healthとも協力する姿勢で動き出しており、共にET医療での可能性を模索している。
AIに投資する背景には、深刻な人材不足があると張は嘆く。中国では人口1,000人あたりの医師数が2人に満たないのに対して、アメリカでは2.7人、ドイツやスイスでは3.3人にも達するという。医療や健康領域におけるAIの応用範囲は非常に広く、医師が適切にAIを活用することで人手不足の難題が少しでも解決されればと、中華医学会健康管理学会の主任孫磊(ソン・レイ)は期待を示している。