獣医学におけるAI技術の可能性

ヒト医学へのAI応用の流れは明らかだが、獣医学についても例外ではない。獣医師の主導のもと、企業での先進的な技術開発が進んでいる。ヒト医学と何が同じで方向性の違いはどこにあるのか、応用の可能性が模索されている。

AI Medのインタビューで、現在ドバイで小動物診療に携わるChris獣医師は、法外に高価なケースや医療行為そのものが危険となるような獣医療領域へのAIやVR技術応用の利点を訴えている。英メディアYorkshire Evening Postでは、リーズを本拠とする獣医学研究開発企業Vet-AI社が、泥の中を転がるような犬の行動が頭痛を訴えているのかをAIによって解析する取り組みなどを紹介している。同社は獣医師のアドバイスと知識が提供されるアプリJoiiのリリースも間近に控える。

獣医学の提供は、保険診療の枠組みにあるヒト医学とは異なる経済システムにある。本質的な有効性の程度を越えて、ペットの飼い主にとって大幅なコスト削減が期待できる技術は歓迎される可能性もある。また、言語でのコミュニケーションができず接触そのものが危険なこともある動物を対象とした、AIでの行動解析やVR技術の応用は獣医学に特有の方向性といえる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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