ヒト医学へのAI応用の流れは明らかだが、獣医学についても例外ではない。獣医師の主導のもと、企業での先進的な技術開発が進んでいる。ヒト医学と何が同じで方向性の違いはどこにあるのか、応用の可能性が模索されている。
AI Medのインタビューで、現在ドバイで小動物診療に携わるChris獣医師は、法外に高価なケースや医療行為そのものが危険となるような獣医療領域へのAIやVR技術応用の利点を訴えている。英メディアYorkshire Evening Postでは、リーズを本拠とする獣医学研究開発企業Vet-AI社が、泥の中を転がるような犬の行動が頭痛を訴えているのかをAIによって解析する取り組みなどを紹介している。同社は獣医師のアドバイスと知識が提供されるアプリJoiiのリリースも間近に控える。
獣医学の提供は、保険診療の枠組みにあるヒト医学とは異なる経済システムにある。本質的な有効性の程度を越えて、ペットの飼い主にとって大幅なコスト削減が期待できる技術は歓迎される可能性もある。また、言語でのコミュニケーションができず接触そのものが危険なこともある動物を対象とした、AIでの行動解析やVR技術の応用は獣医学に特有の方向性といえる。