社会的に孤立していることは、喫煙・肥満・高血圧などに並ぶ健康リスクとなる。しかし、実際の医療現場でアンケートなどを利用し、孤立を確認することは簡単ではない。日々の電子カルテの記述から、自然言語処理で潜在的な社会的孤立を検出できる可能性が示されている。
HealthITAnalyticsの報道によると、サウスカロライナ医科大学(MUSC)は同院の前立腺がん患者の電子カルテ記載を自然言語処理ツールで解析し、社会的孤立を90%の精度で検出できたという。学術誌BMC Medical Informatics and Decision Makingに収載された研究成果では、1057名の患者における5万点に及ぶカルテ記載から、17名の社会的孤立を検出した。著者らは社会的孤立患者の死亡リスクが上昇することも指摘している。
うつ病やアルコール・薬物乱用のような決定的な要素とは違い、社会的孤立には医療者が注意を払いにくい側面がある。電子カルテからアルゴリズムで自動検出することで、社会的孤立患者に支援の手が届く可能性がある。孤立のひとつの例として、日本では高齢世帯での引きこもり家族が社会問題ともなっている。AIツールによる孤立患者の検出は、健康管理の新しい切り口となるかもしれない。