米国アリゾナ州フェニックスに本拠を置く非営利医療プロバイダー・Banner Healthは7日、Buoy HealthによるAIトリアージツールBuoy Assistantの導入を公表した。Banner Healthは6つの州に28の病院群を抱えており、本システム導入により、不要受診の回避を含めた医療の効率化と患者体験の向上を狙う。
Buoy Assistantではオンライン上で症状や背景情報を入力することで、適切な診断候補と受診の要不要を含めた医学的アドバイスを得ることができる。現時点で、基本機能自体は日本からもアクセス・利用が可能となっている(ただし日本語は非対応)。システムはAIによる質問から多肢選択で回答するもので、自由記述ではない。実際に利用してみると非常に網羅的な質問が行われる印象で、緊張型頭痛を想定した入力では実に36に渡る質問を受けた。一方で診断と対応に関するアドバイスは非常に的確であり、あらゆる病態に同程度の質を保っているのであれば実用性は高いだろう。
米国では約72%の患者がインターネットで症状を検索し、質の不明瞭なコンテンツに誘導を受けている。結果的に緊急性疾患の治療の遅れ、不要な受診の増大を招いており、現に米国における不要な救急外来受診は年間320億ドルのコスト負担を招いているとの報告もある。正しい窓口を示すAIトリアージシステムは、今後の医療適正化を考えるとき重要なキーワードとなり得るだろう。