医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療システム・医療問題へのAI活用事例英国 COVID-19に関する患者データを科学者コミュニティに提供

英国 COVID-19に関する患者データを科学者コミュニティに提供

英国における保健福祉の執行機関であるPublic Health Englandは、ケンブリッジ大学の要請に対し、匿名化した「COVID-19の感染患者データ全て」を科学者たちに提供することを決めた。これらのデータは、科学者らの構築したAIアルゴリズムのトレーニングに活用される。

Medical Xpressが6日報じたところによると、これらのデータセットには患者の入院記録・人工呼吸器の使用記録・治療内容・転機などが含まれているという。科学者らはこのAIによって、「どの患者が最も人工呼吸器の恩恵を受けるか」「どの患者が積極的治療なしでの軽快が望めるか」「病院への患者受け入れ可能数」などを予測することを目指し、COVID-19に対する医療提供体制の抜本的な効率化を早期に目指す。

先進各国における比較的安定した医療システムでさえ、予期しない医療需要の急激な増加には容易に崩壊し得ることが明らかとなった。この脆弱性はどの国・地域にとっても対岸の火事ではなく、システムの堅持を見据えた最適化行動が欠かせない。特に医療・保健システムは各国固有の発展を遂げてきた経緯があり、地域性に寄り添った効率化の指針策定が急務となる。

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事