処方ミスを検出する機械学習システム

医療過誤に分類される処方ミスは、日常臨床においてしばしば観察される用法・用量の間違いだけではなく、重複処方や禁忌薬処方など多岐にわたる。このような処方ミスを防ぐための処方箋監査は、薬剤師に独占業務として認められる「調剤」の重要な1領域だ。一方で、人的エラーによる見逃しや過重な業務負担を予防するため、技術による処方ミスの検出は広く検討が積み重ねられてきた。

パリ・サン-ジョゼフ病院の研究チームは、処方ミスを検出する機械学習アルゴリズムを構築し、既存ツールとの比較を行った。査読付き学術誌であるJournal of the American Medical Informatics Association(JAMIA)にて公開された研究論文によると、独立した検証データセットでは、412名に対する3,364の処方オーダーを分析したという。チームが開発した新しい検出システムは機械学習とルールベースを組み合わせたハイブリッドアプローチによるもので、既存の技術(CDSシステム・多基準クエリ)を大幅に上回る処方ミスの検出精度を示していた。

処方ミスの可能性が高いオーダーを自動検出するシステムは、処方チェックの精度と信頼性を直接的に改善するもので、病院システムへの速やかな統合が期待できる。各国における追試、競合システムによる質的向上に注目したい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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