仏パリサクレー大学などの研究チームは、胸部CT画像と5つの臨床情報のみから、COVID-19患者の重症化を高精度に予測するAIツールを開発した。ツールは重症化リスクを5段階で評価することができ、スコアの算出には2-3分しか要さない。現在はCTのスキャンレポートと同時に医師に結果を返すシステムが構築されている。
Nature Communicationsから公開されたチームの研究論文によると、フランス国内の2つの病院において1,000名を超えるCOVID-19患者データからこのツールを開発したという。胸部CT画像のほか、年齢や性別、酸素化状況、血小板数、尿素窒素など5つの臨床情報を抱き合わせたマルチモーダルアプローチによって、患者の重症化を予測する高精度なAIアルゴリズムを導いた。
同ツールは、フランス国内のがん治療専門病院であるグスタフ・ルッシーがん研究所で臨床実装されており、実際の臨床ワークフローに取り込まれた運用が既に始まっている。研究チームは、このツールによって「初期の診断時点で重篤化リスクを把握し、ICUや呼吸器管理の必要性を予測することができる」として、その臨床的有用性に自信を示している。