高濃度乳房(デンスブレスト)は乳腺組織の豊富な乳房を指すが、一般的な乳房に比べると乳がん発症率が高いことも知られている。一方、デンスブレストはマンモグラフィ写真において全域が白く写るため、病変の識別が容易でない。
デンスブレストにおけるマンモグラフィを代替し得るスクリーニングツールとして、MRIを用いた検診がある。現代の医療水準では、これが乳がん診断において最も感度の高い画像技術となるが、高感度故に「他のスクリーニング手法では見過ごされていた良性病変」が容易に検出され、追加の精密検査を要することとなる。結果的に患者予後の改善に寄与しない部分において、患者負担および医療費の増大を引き起こすという問題点があった。オランダ・ユトレヒト大学医療センターの研究チームは、MRI乳がん検診において「真陽性と偽陽性を区別するための新しい予測モデル」を構築した。
Radiologyからこのほど公開されたチームの研究論文によると、MRIで得られた画像所見と臨床所見から、多変量ロジスティック回帰でこの予測モデルを構築したという。454名のMRI陽性者に対して前向き試験を行ったところ、実際に乳がんであった真陽性は79名で、375名が偽陽性であった。この集団に予測モデルを適用したところ、実に偽陽性の45.5%、不要な生検の21.3%を回避できる推計となった。
著者らは「我々の予測モデルは、第1ラウンドのMRIスクリーニングの後に、かなりの数の偽陽性を特定する。がんを見逃すことなく、良性に対する生検を減らすことを実現できるかもしれない」と述べ、乳房MRIを現実的な乳がんスクリーニング手法とするための、有用なツールとなる可能性を指摘する。
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