COVID-19ワクチン接種が進む中、各国の公衆衛生当局はワクチン未接種の人々が地理的にどこに分布し、なぜワクチンを接種していないか解明しようとしている。陰謀論・不信感・副反応・恐怖心・アクセス困難など、接種ためらいの種類に応じた支援活動を行うには指針となるデータが必要だが、従来の調査方法にはコストや時間に課題があった。
南カリフォルニア大学のAI研究者らは、Twitterを分析することでワクチン接種の躊躇を評価し、米国の都市圏で「郵便番号(ZIPコード)ごとのためらい度合い」を予測する研究を行っている。成果はPLOS Digital Health誌に発表された。TwitterのオプションにGPS情報を有効にする機能があり、大都市圏ほどユーザーがGPSを有効にする頻度が高いことに着目し、それら地域で郵便番号レベルでのワクチン接種ためらいを予測するモデルを構築した。その結果、郵便番号内の平均住宅価格に代表されるような、収入・教育レベルを反映する一般的特徴を用いた既存調査と比較しても、Twitterデータ解析モデルのパフォーマンスが上回ることが示された。
代表的なサンプル回答者にYes/Noでワクチンためらいを質問するような従来調査は、コスト・時間の問題のみならず、政治的偏向などによって無回答率が悪化し、サンプルサイズが小さくなってしまう傾向も認められる。ソーシャルメディアから潜在的なワクチン躊躇を抽出する本研究は、ワクチンやCOVID-19に無関係のツイートが一部に混在しても、その有効性が維持されることが確認されている。解析で得られた情報をもとにしたハイリスクアプローチ、つまり、ワクチン未接種の可能性が高くなるターゲットを絞り、接種に前向きになるような信頼できる情報を局所的にも提供することが、次段階の公衆衛生施策には必要となる。
関連記事: