クラウドソーシングは不特定多数の参加でコンテンツを開発する手法として、医療における機械学習アルゴリズム開発においても人気が高まっている。関節リウマチ患者の関節損傷をX線画像から評価することについては、専門家による時間と費用の両面のコストをかけた従来手法としての課題があり、自動評価AIに一定の開発需要がある。クラウドソーシングで「関節リウマチ患者の関節損傷を定量化する手法」を開発するチャレンジ「RA2-DREAM(Dialogue on Reverse Engineering Assessment and Methods)」が行われ、その成果が米国リウマチ学会(ACR)年次総会で発表された(全文はmedRxiv参照)。
米国の整形外科/リウマチ性疾患専門病院であるHospital for Special Surgeryの研究者らが中心となってDREAMチャレンジを主導した。同病院の6日付リリースでは本研究を紹介している。7カ国26チームが参加したチャレンジでは、関節リウマチによって狭小化し侵食された関節腔をX線画像から定量化するアルゴリズムが競争的に開発された。最終的にトップパフォーマンスを記録した4チームが選出されている。プロジェクトで開発されたスコアリングシステムは、同領域の研究者や臨床医が無償で自由利用できる「パブリックドメイン」であることも要件とされている。
スコアリングシステムの価値は、筋骨格系の画像読影専門家がいない地域で特に重要なものとなり、病状の進行を防ぐために治療方針の変更を促す役割が期待される。
本研究の責任者S. Louis Bridges, Jr.博士は「ツールが広く利用されるため、アルゴリズムにまだ改良の余地はあるものの、DREAMチャレンジを経て目標に近づいた」と結語している。
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