英国バーミンガム大学の研究チームは、3Dプリンティングによって構築した人工皮膚が創傷治癒を早め、瘢痕を減らすことができることを実証した。研究成果はAPL Bioengineeringのオンライン版で公開されている。
チームの研究論文によると、表皮から真皮、その下の脂肪層(真皮下層)までに渡り、損傷した組織と素早く融合することのできる人工皮膚を開発した。特徴的となるのは、3層構造の全てに灌流する化学的特性を持つバイオインクを利用し、3Dプリンティング技術によって最適なインプラント材として実現したこと。研究チームによるこの人工皮膚の臨床試験では、移植後少なくとも3週間は生体における皮膚の治癒を模倣していることを確認した。特に興味深いことに、移植後わずか7日目に試験物質が実際の皮膚と一体化し、「脂肪組織が周囲の組織から構造物自体に動員された」ことも認めており、これを著者らは驚きをもって報告している。
チームは「このインプラントは筋膜から皮膚表面に向かって治癒を促進することができ、重篤な創傷の治癒における鍵となるメカニズムを有する」とする。研究チームはさらに長い試験期間を追加的に設定し、慢性経過をたどる深い傷にも効果があるか、さらなる検証を計画している。
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