大腸内視鏡検査でポリープを見つけ除去することは、大腸がんへの罹患を大きく低減する。だがポリープをもれなくみつけることは簡単ではなく、医師の経験による差も少なくない。そういったなか、AI技術を利用することで、ポリープ診断を支援する取り組みが盛んとなっている。
Gastroenterology & Endoscopy News の報道では、米カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームが、機械学習によるリアルタイムAIを用い、内視鏡専門医単独では達成できないほどの高いポリープ発見率を実現したという。Natureでは、中国の研究グループが開発した深層学習アルゴリズムが、大腸内視鏡検査のリアルタイムAI支援として、高い感度と特異度でのスクリーニングを達成したと報告されている。
内視鏡検査に関しては、日本の大手3社(オリンパス・富士フイルム・HOYA)が世界シェアの大半を占める。厚労省の選定するAI開発重点領域にも含まれ、実用レベルでの発展が進んでいる。Annals of Internal Medicineには、リアルタイムAI支援によるポリープ診断で、日本発の高品質な前向き試験も報告された。一方、国家間でのAI開発競争は熾烈となっており、当該分野における覇権争いにも予断を許さない状況が続いている。