ヘルスケア領域におけるAI開発は、米国と中国が2大巨頭と言って間違いないが、欧州における覇権は英国が握って離さないようだ。英国は政府主導のヘルスケアAIセンターを多数設立するなど、積極的な国家戦略をみせる一方、関連スタートアップなど民間からの動きも英国内で大きくなっている。
英Evening Standardの報道によると、欧州で設立されたヘルスケアAIスタートアップの実に3分の1が英国発であるという。英MMC VenturesのDavid Kelnar氏は「70年代に比べ、GDPに占める医療費の割合は2倍となった。ステークホルダーはAIイノベーションによる事態の改善を望んでいる」とし、切迫した社会経済的な背景があることを指摘する。
日本と同じく国民皆保険を達成している英国においても、急速な高齢化の進展に伴う医療費高騰は切実な問題となっている。ヘルスケアにおけるAIの浸透は、診断の効率化などを通した医療経済への好影響が期待できる。日本が今後学ぶべきスタイルが、あるいは欧州のこの島嶼国にあるのかもしれない。