AI時代の医師に求められるスキル

ヘルスケアにおけるAIの急速な発達に関わらず、医師がAIに完全に代替されることはないと見る向きが強い。これは結果責任の所在といった法規制の問題や、AIの臨床的有効性の問題だけではなく、医療が本質的に対人コミュニケーションに大きく拠っているからでもある。ただし、AIを使える医師が、AIを使えない医師を代替する未来はそう遠くない。

World Economic Forumが5日報じたところによると、既に医師や医科学研究者にはAIに関連したコンピュータサイエンススキルの必要性が叫ばれており、臨床家向けのプログラムも実際に運用され始めているという。UCLやエディンバラ大学などの英国主要大学が中心となって開発した同種のオンラインプログラムは、実に大きな注目を集めている。

英コンサルティングファームPwCの報告では、患者サイドもヘルスケアAIに好意的な姿勢を持つことを明らかにしており、否定的であったのは全数の38%にとどまるという。作用機序を知らずして薬を処方できないのと同じように、アルゴリズムを正しく解釈できずにAIによる判断を盲信することは危険でもある。今まさに、医師に求められるスキルが大きく変容しようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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