日本を含む多くの国々で、医学部やメディカルスクールへの入学には高い学力が求められる。ただし、そのほとんどが記憶力・語学力・計算力といった古典的能力指標に基づく選定で、時代の変容に伴う大きな変革はみられていない。米トーマスジェファーソン大学学長は、このような現状に一石を投じようとしている。
米CNBCの報道によると、同大学のStephen Klasko学長は、既存の選抜システムが医師の創造性を台無しにしている事実を指摘し、Googleなどの先進企業にならった、創造的な問題解決能力によって医学生は選抜されるべきだという。背景には、AIを含む医科学技術の向上に伴い、網羅的な医学知識を完全に記憶することの意味が薄れるとともに、医師により高い人間性を求めらている現実がある。
日本では入学試験形態の多様化が進み、独自の選抜スタイルをとるケースも増えているが、特に医学部に関しては古典的な評価が堅持されている傾向が強い。AIの台頭によって医療システムの在り方が大きく変わろうとしている今、本質的に医師に求められる能力も異なるものになろうとしている。