血液検査へのAI利用 – 神経変性疾患の進行予測を行うAIアルゴリズム

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カナダ・マギル大学を中心とした研究チームは、血液サンプルから遺伝子発現を解析することにより、アルツハイマー病やハンチントン病といった神経変性疾患の重症度と進行の程度を予測するAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術ジャーナル・Brainに先週公開された。

チームの研究論文によると、1969例に及ぶ神経変性疾患患者における遺伝子発現データを利用し、アルゴリズムの構築を行ったという。教師なし学習によってトレーニングされたこの機械学習アルゴリズムは、神経変性疾患の重症度などを強力に予測していたことから、治療法選択に際する重要な情報をもたらす可能性が指摘されている。さらに、脳細胞サンプルで特定された多数の進行関連遺伝子のうち、このアルゴリズムは85-90%を血液サンプル単独でも特定できており、神経変性疾患の進行予測に関して血液検査の潜在的有効性が示唆されたことになる。

なお、本研究に利用された全てのデータは、3つの主要なソース(ROSMAP StudyHBTRCADNI)から収集されており、いずれもが科学研究利用を目的に一般公開されたデータベースとなっている。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。