コンピュータ支援の大腸ポリープ検出(CADe:computer-aided colon polyp detection)システムについて、米オハイオ州立大学における大腸内視鏡検査での臨床利用が始まった。これにより、オハイオ州立ウェクスナー医療センターとオハイオ州立総合がんセンターは、米食品医薬品局(FDA)によって承認済みの当該ツールを利用する米国初の学術医療センターとなる。
オハイオ州立大学によるプレスリリースでは、Medtronic社のGI Geniusの導入を明らかにしている。GI Geniusは本年4月にFDAの承認を受けた大腸内視鏡AIシステムで、大腸内視鏡から得られるリアルタイムデータにディープラーニングを適用することにより、動画上に「病変を疑う領域」を強調表示し、見逃しを防ぐことができるというもの。臨床的有効性を支持する根拠論文によると、このツールの利用は前がん性ポリープ(腺腫)の検出率を14%向上させることで、結腸直腸がんを42%減少させ得るとしている。
同大で消化器内科を率いるDarwin L. Conwell医師は「このツールは、高度専門知を有する医師とAIの力を抱き合わせることで、人の目だけでは検出が難しかった病変の特定を実現する。結腸直腸がんの早期発見にとって、まさにゲームチェンジャーと言える」と述べる。今回の臨床導入により、AI支援内視鏡に関する臨床データが多量に集積されることが見込まれ、多面的なエビデンス構築と加速度的な普及の足がかりとなることも予想されている。
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