医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例疾患治療へのAI活用事例デジタルツールによるメンタルヘルスの改善

デジタルツールによるメンタルヘルスの改善

米国立精神衛生研究所(NIMH)によると、過去1年間に1730万人以上の米国成人がうつ症状に苦しみ、3人に1人が不安障害を抱えるという。米国におけるメンタルヘルス不調は深刻な社会問題となっているが、未診断や過小診断も多く、適切な治療に至らないことも状況の悪化を加速させている。

米ウィスコンシン州の最大都市であるミルウォーキーに所在するウィスコンシン大学とその関連病院では、メンタルヘルス治療プログラムの一部として処方できるデジタルヘルスアプリとプラットフォームを実装している。Healthcare IT Newsの報道によると、これらにはマインドフルネスのサポートアプリやオンラインでの認知行動療法プログラムなどが含まれるという。本事業を率いるBradley Crotty医師は「デジタルアプローチは、これまでのヘルスケアが可能であったものとは全く異なる方法で、人々をエンゲージすることができる」とし、メンタル治療の根幹と枠組みさえ変革し得る点を強調する。

ウィスコンシン大学の事例では、ユーザーの60%以上でシステム利用に伴う症状改善がみられ、中等度うつ病患者でPHQ-9スコアとして平均23%、中等度不安神経症患者ではGAD-7スコアとして26%の低下を確認している。アプリを含めたデジタル治療をプライマリケアに組み込むことで、ケアの質を補助・強化する可能性が高いとし、サービスの適用範囲拡大を見据えている。

関連記事:

  1. メンタルヘルスケアにAIを用いるスタートアップ5選
  2. イリノイ大学シカゴ校 – AIによるメンタルヘルスケアへのアクセス向上
  3. Cognitive Apps「毎日の音声とテキストで従業員のメンタルヘルスを管理するAIアプリ」 – Ehave社が独占契約
  4. 産後うつ病を予測する機械学習アルゴリズム
  5. うつ病と双極性障害を鑑別する機械学習アルゴリズム
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事