「サルコペニア(sarcopenia)」は筋肉量と筋力の著しい低下を示した状態で、健康寿命と密接に関わる。そのため近年、国際的にサルコペニア予防に向けた取り組みが注目されている。「CT検査にディープラーニングモデルを適用し、胸部CTの範囲内でもサルコペニアを有効に評価できる」とする研究成果が、米ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームから公開された。
American Journal of Roentgenology誌に掲載された同研究では、大腸がん検診のためにCT検査を受けた無症状の成人9,000人以上を対象として、腰椎L1およびL3レベルの筋肉に対して、ディープラーニングモデルを学習させた。その結果、従来のサルコペニア評価でスタンダードとされてきたL3レベルと比較して、L1の高さであっても同等に評価できることが示された。
著者らは「L1椎体レベルでサルコペニア評価を代替できるようになれば、撮像機会の多い胸部CTでも潜在的なサルコペニアをスクリーニングできる」として、同研究の価値を強調する。現在では肺がん検診に低線量CTが有用であることが明らかにされており、国際的に胸部CTの撮像機会が増加している。これら検診で、サルコペニアに由来する将来的な大腿骨骨折や死亡リスクも併せて評価することが、本研究をきっかけとしてスタンダードとなっていくかもしれない。
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