胸部CTへのAI適用でサルコペニアを評価する時代が到来するか?

「サルコペニア(sarcopenia)」は筋肉量と筋力の著しい低下を示した状態で、健康寿命と密接に関わる。そのため近年、国際的にサルコペニア予防に向けた取り組みが注目されている。「CT検査にディープラーニングモデルを適用し、胸部CTの範囲内でもサルコペニアを有効に評価できる」とする研究成果が、米ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームから公開された。

American Journal of Roentgenology誌に掲載された同研究では、大腸がん検診のためにCT検査を受けた無症状の成人9,000人以上を対象として、腰椎L1およびL3レベルの筋肉に対して、ディープラーニングモデルを学習させた。その結果、従来のサルコペニア評価でスタンダードとされてきたL3レベルと比較して、L1の高さであっても同等に評価できることが示された。

著者らは「L1椎体レベルでサルコペニア評価を代替できるようになれば、撮像機会の多い胸部CTでも潜在的なサルコペニアをスクリーニングできる」として、同研究の価値を強調する。現在では肺がん検診に低線量CTが有用であることが明らかにされており、国際的に胸部CTの撮像機会が増加している。これら検診で、サルコペニアに由来する将来的な大腿骨骨折や死亡リスクも併せて評価することが、本研究をきっかけとしてスタンダードとなっていくかもしれない。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。