臨床医の行動から「処方ミス」を予測するAIシステム

医師による薬剤のオーダーミスは、電子カルテの複雑さによって引き起こされることも多く、これは大抵の場合で「臨床医とソフトウェアインターフェースが向き合う段階」でのミスに起因する。これらを回避するため、米ニューヨーク大学の研究者らは「オーダーする臨床医の行動と関連情報だけで、エラーが発生するかを予測するAIシステム」を開発した。

このほどJAMIA Openから公開されたチームの研究論文によると、実際の処方結果と医師の処方行動データから、薬剤師が検証する必要があるほどに疑わしいオーダーの発生を予測する機械学習モデルを構築した。AUC 0.91を示す同モデルは、従来のエラー検出システムと異なり、医療記録そのものを読み込まないため、その高い精度とともに患者プライバシーとセキュリティを高水準に保持することができる。

著者らは「誤処方を減らすことは患者メリットが大きいことはもとより、薬剤師の作業負担軽減を通した医療提供体制の最適化に貢献する」ことに言及する。臨床医の行動に焦点を当てたユニークな処方ミス検出システムは、その設計思想と研究知見から今後の同種システムに大きな示唆を与えている。

関連記事:

  1. 処方ミスを防ぐAIモデルが台湾と米国の国境を越える
  2. 処方ミスを検出する機械学習システム
  3. スマートEHR – 医師の思考プロセスに基づく情報抽出を実現
  4. 医療AIの最新活用事例とは?医師が解説【2021年版】

TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事