医師による薬剤のオーダーミスは、電子カルテの複雑さによって引き起こされることも多く、これは大抵の場合で「臨床医とソフトウェアインターフェースが向き合う段階」でのミスに起因する。これらを回避するため、米ニューヨーク大学の研究者らは「オーダーする臨床医の行動と関連情報だけで、エラーが発生するかを予測するAIシステム」を開発した。
このほどJAMIA Openから公開されたチームの研究論文によると、実際の処方結果と医師の処方行動データから、薬剤師が検証する必要があるほどに疑わしいオーダーの発生を予測する機械学習モデルを構築した。AUC 0.91を示す同モデルは、従来のエラー検出システムと異なり、医療記録そのものを読み込まないため、その高い精度とともに患者プライバシーとセキュリティを高水準に保持することができる。
著者らは「誤処方を減らすことは患者メリットが大きいことはもとより、薬剤師の作業負担軽減を通した医療提供体制の最適化に貢献する」ことに言及する。臨床医の行動に焦点を当てたユニークな処方ミス検出システムは、その設計思想と研究知見から今後の同種システムに大きな示唆を与えている。
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